ルイージ・ケルビーニ(著) / 小鍛冶 邦隆(訳)
B5判 並製
定価 3,850円 (内消費税 350円)
ISBN978-4-903951-64-5 C1073
在庫あり
奥付の初版発行年月 2013年05月 書店発売日 2013年06月03日 登録日 2013年05月01日
シューマン、ショパン、ドビュッシー……みんなこの本で大作曲家になった。パリ音楽院、英国王立音楽院で採用され、欧州各国で数多くの音楽家が学んだ19世紀のベストセラー、待望の邦訳。対位法からフーガまでこれ1冊で!
「良き作曲家が知るべきすべてが、フーガには含まれている。すべての楽曲のなかにフーガは存在する。つまりフーガは創意、規律、当を得た導きであり、フーガの形式と性格をもたない場合も、フーガの精神をもつべきである」とは、作曲についての漠然とした箴言などではなく、作曲法を教えるにあたってパリ音楽院が築き上げた、19世紀から20世紀前半にいたるまでの教育システムそのものなのである。
──訳者による「解題」より
ルイージ・ケルビーニ(1762-1842)はパリで活躍した作曲家で、ベートーヴェンが「当代一のオペラ作家」と評した人物。パリ音楽院の院長として教育にも尽力しました。その彼がパリ音楽院の教科書として書き下ろしたのが、この『対位法とフーガ講座』です。
初版刊行後またたくまにヨーロッパ各国に普及し、ロンドンの英国王立音楽院でも教科書として採用されました。シューマンやショパンが本書を研究した記録があり、もちろんドビュッシーやラヴェルも学生時代に使用した、まさに「大作曲家のバイブル」。
対位法の教科書はわが国でも多く出版されていますが、本書はケルビーニ自身による解説がひじょうに充実しており、独習にも向いています。そして対位法からフーガまで1冊で学べるというのも特筆すべき点でしょう。歴史的文献であるというだけでなく、現代の学習者にとっても「使える」テキストです。
翻訳は作曲家で東京藝術大学作曲科教授の小鍛冶邦隆さん。作曲を学ぶ学生、音楽学研究者、そして音楽理論に関心をもつすべての人に広く読んでいただきたい永遠の名著です。
序
予備知識
†厳格対位法でもちいる協和音程
†厳格対位法でもちいる不協和音程
†さまざまな進行
2声対位法
†第1種 1対1[全音符]
†第2種 1対2[2分音符]
†第3種 1対4[4分音符]
†第4種 シンコペーション
†第5種 華麗対位法
3声対位法
†第1種 1対1[全音符]
†第2種 1対2[2分音符]
†第3種 4対1[4分音符]
†第4種 シンコペーション[掛留]
†第5種 華麗対位法
4声対位法
†第1種 1対1[全音符]
†第4種 シンコペーション
†第5種 華麗対位法
5、6、7、8声の実声部による対位法
模 倣
†第1部 2声部による模倣:平行による模倣[単純模倣]
†第2部 2声による模倣:反行による模倣
──反行による自由な、あるいは非正規な模倣について
†他のさまざまな模倣
†第3部 3声と4声による模倣
二重対位法[転回対位法]
†第1部 2声による二重対位法
†第2部 三重、四重対位法
フーガ
†フーガ全体の作曲
†基本事項
定旋律、あるいは厳格対位法にもちいられる低音課題集
†8声の二重合唱による対位法のための低音課題
ケルビーニ伝──フェティス氏の仏文から抄訳
解 題(小鍛冶邦隆)
†オリジン──起源
†リフェランス──参照
†トラディション──伝承
†プラクシス──実用性=訓練・近代
†パラフレーズ──釈義
訳者による解題より
ルイージ・ケルビーニ(Luigi Cherubini、1760-1842)の『対位法とフーガ講座(Cours de contrepoint et de fugue)』は、1835年にシュレザンジェ社(Maurice Schlesinger)から出版された。同書のタイトル・ページ(本書p.5の扉参照)には、「この著作はパリ音楽院のクラスでの教育に採用されている」(Cet Ouvrage est adopté pour l’Enseignement dans les Classes du Conservatoire)と明記されている。作曲法という概念が従来、和声法=通奏低音という実践的な側面と、対位法・フーガという理論的な領域から構築されていたと考えられるところからも、パリ音楽院における作曲専門教育の重要な成果であり、歴史的に第一級の資料といえる。
1837年には、英訳A treatise on counterpoint and fugue(Novero, Ewer and Co., London)が出版されたが、のちに、パリ音楽院のみならず、ロンドンの王立音楽院でも採用されていることが記されている(1854年版)ところからも、同書の評価の高さが推測される。また初版と同年に独訳(仏・独対照版。Fr. Kistner, Leipzig, 1835)も出版されている。1845年にはシューマン夫妻が同書を仔細に研究し(『新シューマン全集』Ⅶ/3/5収載のファクシミリを参照)、その成果としてローベルトは重要な対位法的作品を作曲している。またショパンについても、1841年のフォンタナ宛ての手紙の記述から、同書と創作とのかかわりが推測される。これらの事実からも、同書の理論書としての評価のみならず、19世紀の対位法的作曲技法のモデルとしての価値も含めて、再度評価をおこなうべきであろう。
著者のケルビーニについては、英訳版(1854年)の巻頭に載せられた、ベルギー出身の有名な音楽史家でパリ音楽院におけるケルビーニの同僚であったフェティス(F.-J. Fétis)による小伝(本書p.261−264に掲載)を参照されたい【注2】。イタリアに生まれ、フランス革命期から帝政期、王政復古の時代を生きた有名なオペラ作曲家であり、パリ音楽院においてかずかずの教育改革をおこなった有能な管理者でもあるケルビーニの、同時代者の視点からのプロフィールである。
(以下略)
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