眞田 岳彦(著)
A5変型判 160頁 並製
定価 1,650円 (内消費税 150円)
ISBN978-4-903238-32-6 C0070
在庫あり
奥付の初版発行年月 2009年03月 書店発売日 2009年07月24日 登録日 2010年02月18日
「ファッション」と「衣服」は同じでありながら異なるもの。人々のより豊かな暮らしのための衣服を考えることで人々の暮らしをより豊かに変化させてゆけるのかを先端アートを実践する衣服造形のスペシャリストが考察する。
「ファッション」と「衣服」は同じでありながら異なるもの。「衣服」と「造形」を合わせ持つことで、多くのデザイナーが二十世紀のファッションとして進めてきた「人々のより豊かな暮らしのための衣服」を、どのように推し進めて行けるのか。「衣服×造形」とは、衣服を作る時に何かを考えてみること、もしくは、何かを考えて衣服を作ってみることを言う。すなわち「考える衣服」。類人猿がある日突然なにかを思い、手で物を作った。その時から類人猿は人間という動物に変化したと言われているが、さて、衣服は「考える」ことで、人々の暮らしをより豊かに変化させてゆけるのか?
イッセイ・ミヤケでファッションデザインを、英国で現代アートを学んだ著者が、繊維、色、技術、衣服を着る心理など、様々な側面から衣服とは何かを問いかけます。21世紀が必要とする衣服、アートとデザインの「際(キワ)」にある「考える衣服」とは……。
序章
衣服とは?
「服の形」と、考える衣服
第1章 繊維
繊維のイメージ
繊維について
毛並みの違いは育ちの違い
獣羊毛をつかう
第2章 糸と布 yarn and fabric
糸のことば
紡ぎだす
一本の糸が布になる
水と摩擦がつくる布
第3章 色と光 color and light
白が意味するもの
黒と光
命を染める
捨て色
第4章 人と衣服 man and clothes
なぜ人には体毛が無くなったのか?
人はなぜ衣服を着たくなるのか?
衣服の役割
アクセサリーとバランス感覚
箪笥(たんす)と衣服
服で包むのか、服が包むのか
寄稿 藤森和美 臨床心理士
第5章 プレファブ・コート prefab coat
寄稿 柏木博 デザイン評論家
「衣服─概念の開放」造形作品からのデザインへの越境
身体と生命のキワ/際
コンセプトノート 身体と生命のキワ/際
素材が織り成す、アートとデザインの交差
産業デザインとしての活動
Prefab coat 組み立てるように準備された衣服
〈1〉哲学者とつくったコート 「D.I.S 2005 Prefab Coat」
コンセプトノート D.I.S 2005 Prefab Coat
「D.I.S 2005 Prefab Coat」プレファブ・コートへの展開ベース 2005 年
〈2〉精神科医との勉強会を参考にしたコート 「T.M 2005」Prefab Coat
〈3〉子どもの心のための展開 「C.P.P 2005」Prefab Coat
〈4〉デザインプロダクト 「A.X 2005」Prefab Coat
プレファブ・コートで実現させたかったこと
寄稿 信原幸弘 東京大学総合文化研究科・教授
第6章 フィールドプロジェクト eld project
寄稿 財団法人せたがや文化財団 世田谷文化生活情報センター館長 高辻ひろみ
フィールド・プロジェクト アイデンティティをさがして
心が動く、心をつなぐ
ウール・イン・ウール 岩手県 羊毛
アンギン・プロジェクト 新潟県 苧麻
フィールド・プロジェクトから拡がる交流 越後アンギン学習会
日本人と稲穂
丸の内(稲穂)デザイン・プロジェクト 都会と棚田を結ぶ~
こころを継ぐデザイン 衣食と場を装う
寄稿 岡副真吾 日本料理 金田中 若主人
セタガヤーンプロジェクト
コンセプトノート 「生活工房」から始まること “豊かなこころ”
なぜ木綿なのか
第7章 エデュケーション education
次世代の育成とは
学校ではない場所で教える
紡いでみせると学生たちは黙る
眞田塾と私
第8章 生命を感覚する sense of life
寄稿 片岡真実 森美術館シニア・キュレーター/ヘイワード・ギャラリー インターナショナル・キュレーター
感覚するアートから感覚するデザインへ
制作の先には
遷移 「あの生まれ出るような感覚」
「生命とはなにか」幾つかの側面から考察を重ねる
1 身体の内側から生命を探る
「遷移」のためのコンセプト1「生命(いのち)を移す」
「遷移」のためのコンセプト2「手」
連感 想像が生命を与える
衝/動
2
身体の外側から生命を探る
人光 309±10
上から下
紫から赤
第9章 考える衣服 衣服×造形 clothing × concept
衣服を考えると?
アートとデザインのゆるい関係
気候風土と衣服の造形
考える衣服
あとがき
活動年表
「ファッション」と「衣服」は同じでありながら異なるもの。二十代の頃そう考えた私は、今「衣服造形家」として仕事をしています。では、「衣服」と「造形」を合わせ持つことで、多くのデザイナーが二十世紀のファッションとして進めてきた「人々のより豊かな暮らしのための衣服」を、どのように推し進めて行けるのでしょうか。「造形」とは、人が手で物を生み、伝えることを言います。ラスコー洞窟などを見ますと、約二万五千年前の人はすでに絵を描くことで何かを伝えようとしていました。そして今日では、「造形」は、単に物を作るという意味にとどまらず、何をどう作りたいかを考えて物を作ることを指すようになりつつあると思います。つまり「衣服×造形」とは、衣服を作る時に何かを考えてみること、もしくは、何かを考えて衣服を作ってみることを言うのだと思っています。「考える衣服」……何やら難しく感じるかもしれませんが、例えば「今日は何を食べようかな」と毎日考えることと同じです。意識的に考えたことに限らず、ふと感じたこと知りたいと思ったことなど、何かを考えたその先に私の衣服や造形作品も生まれています。自然界から食物を得るだけの生活をしていた類人猿がある日突然なにかを思い、手で物を作った。その時から類人猿は人間という動物に変化したと言われていますが、さて、衣服は「考える」ことで、人々の暮らしをより豊かに変化させてゆけるのでしょうか?この本では、そんなことを皆さんと一緒に考えてゆきたいと思っています。
本書のカバーは非常に珍しい作りになっています。_トーメイ新局紙_という特殊な透ける紙を使用。バーコードや社名は紙の表から刷られていますが、裏側から逆さまに刷られている文字、折り返された部分に刷られている文字などがお互いに透けて見え合って構成されています。
目にしたお客さまが「何これ?どうなってるの?」と思うに違いありません。様々な種類の_白_がかけあわされた、見る者をひきつけるカバーです。ぜひご覧ください。
在庫あり
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