山本 訓久(著)
A5判 256頁 ビニールカバー
価格 2,420円 (内消費税 220円)
ISBN978-4-86559-137-8 C1073
在庫あり
奥付の初版発行年月 2016年03月 書店発売日 2016年03月22日 登録日 2016年03月22日
コーラス、吹奏楽、オーケストラの指揮者・指導者必携!バトンテクニックの基礎から各種の編成、拍子、表現まで実践的に解説。「セビリャの理髪師」「展覧会の絵」ほかオーケストラの名曲にも挑戦。指揮法教程の新定番!
コーラス、吹奏楽、オーケストラの指揮者・指導者必携!
バトンテクニックの基礎から各種の編成、拍子、表現まで実践的に解説。
「セビリャの理髪師」「展覧会の絵」ほかオーケストラの名曲にも挑戦!
2008年の初版刊行から7刷を数える人気教本が大幅に増補改訂。
基礎学習に最適なブルクミュラーの練習曲や「Believe」「明日へ」「重なり合う手と手」など学校で人気の合唱曲、「セビリャの理髪師」など本格的なオーケストラ曲も新たに増えて、さらに学びやすくなりました。
基本から実践まで1冊でカバーできる指揮法教程の新定番です!
はじめに
第1部 基礎篇
指揮法テクニックの分類と基本の図形
第2部 実践篇
ステップ1|平均運動としゃくい
ステップ2|叩きと引掛け
ステップ3|合唱曲の指揮
ステップ4|いろいろな拍子
ステップ5|フェルマータ
ステップ6|1拍3分割
ステップ7|テンポ・ルバートへの対応
ステップ8|シンフォニーなどのレパートリーから
ステップ9|特別な練習
巻末譜例集
ピアノ2手および4手による交響曲などの楽譜
はじめに
本書は,はじめて合奏や合唱を指揮する人たちのために指揮法の基本をまとめたものである。たんにテクニックの習得のみでなく,なるべく広範でなおかつ万人が親しんでいるレパートリーから課題をとりあげるよう心がけた。また随所にもうけた「コラム」では,とくに指揮者の「心得」あるいは「知識」のような内容を含めるよう配慮した。
みなさんは「指揮すること」あるいは「指揮者の仕事」についてどのようなイメージをお持ちだろうか。指揮者はたいへん特異な職業である。舞台上に並み居る音楽家たちのなかで,ひとりだけ音を出さず(出せず!),失礼にも聴衆にお尻を向けて仕事をする。にもかかわらず誰よりも目立つ。ステージでの指揮者は,一見すると「テンポを示す」あるいは「拍を取る」だけのような気がする。実際のところ,仕事の内容はどのようなものなのだろうか。
指揮者の仕事は大別して,以下の2つに分類できる。「指揮台に立つ前の仕事」そして「指揮台の上での仕事」である。
前者は一言でいえば「机上での勉強(研究)」である。その内容は広範囲にわたっているが,主なものは以下のとおりである。
・楽器の知識(さまざまな楽器の演奏法)
・声の知識(発声法,発音,歌詞の取り扱い,語学)
・スコアの知識(スコアの読み方,版の選択)
・楽曲分析(フレーズの把握,和声,リズム,様式など)
・指揮のテクニック
そう,指揮者の仕事の第1番目は棒を振ることではないのだ。まず目の前にあるスコアを読み,「演奏がいかにあるべきか」について分析し,演奏のための具体的な設計図を頭の中に描いていく。次の段階としては,頭の中の設計図と自分のもっている指揮のテクニックとを結びつけることである。
それらを,机に向かって黙々とおこなう。
そしてリハーサルが始まる。ここからが指揮者の本領ともいうべき「指揮台の上での仕事」となる。そこでは,みずからの設計図に則のつとって「音楽創り」の作業を進めていく。指揮者は専門職の演奏家たちを束たばねて音楽をひとつにまとめていかねばならない。それは一種の職人的な作業といえるかもしれない。必要とされるのは,すぐれた「音楽的センス」,職人的な「精密さ」に加えて,人を引っ張っていく「リーダーシップ」であろう。ここでの「リーダーシップ」については,とくに「カリスマ性」などとよばれることもある。おおぜいの演奏家たちを納得させるためには,リハーサルの指揮台に立ったとき,すでに完成図が頭の中でイメージできていなければならないのである。
さて,順序からいえば次は演奏会というところであるが,本書の目的は演奏会を迎えるまでに必要な「楽譜の読み方」および「指揮法テクニック」について習得するところにある。とくに楽譜の読み方に関しては「楽曲分析」の項目としてとりあげ,テクニックの学習である「指揮のポイント」と併せて2項目を立てることとした。それらを学習の両軸とみていただければ幸いである。
また,「実習」「練習」などの課題のとなりに示した「合唱」「ピアノまたはアンサンブル」といった語句は,課題を実践するさいの演奏形態である。「合唱」とあっても数名のグループでの演奏が可能であるから,みなさんで「歌い」かつ「指揮する」効果的な学習ができると思う。ピアノは基本的には1人で演奏可能であるが,2人で左手と右手を分担して弾けばアンサンブルの練習にもなる。もちろんピアノ・パートを他の楽器で読み替えて,ピアノ+αの数名によるアンサンブルに仕立てあげることも可能である。いろいろ工夫すると楽しいだろう。なおシンフォニーなどに関しては,巻末に連弾譜を掲載した。数名のグループからクラスなどでの使用まで多様な使い方ができるように心がけたつもりである。
山本訓久
在庫あり
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