昆 真由美(著)
A5判 160頁 並製
定価 2,200円 (内消費税 200円)
ISBN978-4-7998-0217-5 C1073
書店発売予定日 2025年01月15日 登録日 2024年12月18日
現代の視点から演歌をとらえた、新しい演歌の作詞入門書。演歌が流行した時代背景をもとに歌詞の特徴を掘り下げ、ポップスとの違いとともに解説。さまざまな演歌ならではの作詞技法を新たな切り口で実践的に学べる一冊。
演歌の歌詞が書けるようになる、実践的な作詞入門書。演歌が流行した時代と背景、ジャンルの立ち位置などを踏まえ、歴史を紐解きながら、演歌の歌詞の特徴を学ぶ。ポップスを中心に作詞をする現役の作詞家・作詞講師である著者が、ポップスとの違いを交えつつ、演歌特有の作詞方法を解説。現代の視点から新たな切り口で作詞術を展開する。「プロット作成」や「推敲」、効果的な「表現技法」など、演歌の作詞に欠かせないポイントのほか、演歌の3つの要素「艶歌」「縁歌」「俺歌」と、3つのタイプ「遠歌」「炎歌」「怨歌」を軸にした、著者ならではの作詞へのアプローチも紹介。演歌の歴史を学びながら演歌の作詞術が身につく一冊。
はじめに
序章:演歌の作詞の心構え
・歌詞とは何か
・歌は時代や場所をこえる
・歌には必ず伝えたいことがある
・演歌の構成要素
・大衆歌の定義
・「日本調」と「洋楽調」
第1章:演歌の成り立ちを知る
・日本の音楽ジャンルの歴史 明治・大正時代
ヨナ抜き音階の登場
「歌謡曲」は海外から流入した歌を指していた
・日本の音楽ジャンルの歴史 昭和初期~昭和10年代
レコード会社を中心とした流行歌、洋楽系歌手の登場
日本調の歌のほとんどが「お座敷唄」に
股旅ものの登場
日本における「ブルース」の登場
・日本の音楽ジャンルの歴史 昭和20年代~30年代
田舎調(望郷歌)の流行
都会調(初期ムード歌謡)の流行
浪曲調の歌い方の登場
フォーク・ソングの流行
・日本の音楽ジャンルの歴史 昭和40年代~50年代
グループサウンズ(GS)ブーム、シンガーソングライター(SSW)の登場
音楽ジャンルの多様化と、そのひとつとしての「演歌」
『柳ヶ瀬ブルース』のヒット 「ご当地ソング」の登場
・日本の音楽ジャンルの歴史 昭和60年代~平成以降
「J-POP」の登場と、演歌の脱大衆化
演歌は日本だけのものではない
第2章:演歌の歴史まとめ
・第一次、第二次、第三次、第四次演歌のまとめ
・歌のカテゴリーにおける演歌の位置づけ
・演歌のイメージのルーツ
・演歌とは 「昭和期に日本で流行した浪曲風に歌う哀愁的な歌」
第3章:演歌の形式的な特徴を知る
・演歌のメロディーの特徴
演歌のメロディーの特徴① ヨナ抜き音階
演歌のメロディーの特徴② 3連符
演歌のメロディーの特徴③ ゆったりとしたテンポ
・演歌の歌い方の特徴
演歌の歌い方の特徴① こぶし
演歌の歌い方の特徴② ビブラート
・演歌の歌詞の特徴
演歌の歌詞の特徴① 詞先
演歌の歌詞の特徴② 五七五のリズム
演歌の歌詞の特徴③ 3番以上の構成
メロディー、歌い方、歌詞は相互に影響する
第4章:演歌の歌詞の内容的な特徴を知る
演歌は「演じる歌」 歌手は歌詞の物語の演じ手
物語を伝えるためのさまざまな工夫がされることも
演歌の歌詞は歌い手とリンクするとは限らない
ポップスは気持ちに、演歌はキャラクターと背景に焦点を当てる
海、雨、酒、北国…演歌っぽいアイテムは「気持ち」の間接的な表現
演歌が描くのは昭和期まで。現代の風景は登場しない
ポップスのテーマは日常における「気持ち」、演歌のテーマは「人生」
演歌にダンスは不要。パフォーマンスは声が担う
男女の性差が色濃く描かれる
第5章:演歌のプロットを理解する
・演歌のプロットを作ろう
プロットとは
一般的なプロット
演歌の歌詞のプロット
ポップスの歌詞のプロット
・誰(Who)=歌詞の主人公(キャラクター)を決める
・いつ(When)、どこ(Where)、なぜ(Why)=歌詞のセットを決める��
いつ(When)
どこ(Where)
なぜ(Why)
歌詞のセット〔いつ(When)、どこ(Where)、なぜ(Why)〕の注意点
・何(What)=歌詞のテーマを決める
テーマはタイトルとリンクする
演歌の歌詞のテーマ3要素(艶歌、縁歌、俺歌)
・どのように(How)=歌詞の形式を決める
縦書きで原稿400文字以内が目安
1番の歌詞の目安は5行から6行、目安は原稿用紙1枚以内
第6章:演歌の歌詞を実際に書いてみる
タイトルを決める
演歌のタイトルのポイント① 関係性を入れる
演歌のタイトルのポイント② セリフをタイトルにする
演歌のタイトルのポイント③ 性別を入れる
演歌のタイトルのポイント④ 地域名を入れる
演歌のタイトルのポイント⑤ 花鳥風月+酒
1番を書く
1番の歌詞を分解して考える
冒頭2行(Aブロック)で世界観をわからせるように書く
字脚をそろえる
文節の区切りをそろえる
2番以降を書く
第7章:演歌の歌詞を推敲する
・演歌の歌詞の推敲ポイント その1 短い言葉で伝える
短い言葉で伝える工夫① 主語を削る
短い言葉で伝える工夫② 同じ意味を持つ別の言葉に置き換える
・演歌の歌詞の推敲ポイント その2 説明っぽさをなくす
説明っぽさをなくす① セリフ(会話風の表現)で始めてみる
説明っぽさをなくす② 体言止めを活用する
説明っぽさをなくす③ 書かずして表現する
・演歌の歌詞の推敲ポイント その3 歌いやすさにこだわる
歌いやすさにこだわる① 声に出して読んでみる
歌いやすさにこだわる② 響きの美しくない言葉を変える
歌いやすさにこだわる③ 言葉のリズムを変える(倒置法、繰り返し)
歌いやすさにこだわる④ 難しい言葉を言い換える
・演歌の歌詞の推敲チェックシート
第8章:その他の表現技法
・演歌における表現方法
表現技法① 比喩表現
表現技法② オノマトペ
表現技法③ 五感
表現技法④ 掛詞
表現技法⑤ 韻を踏む(押韻)
表現方法⑥ セリフ(語り)
あとがき
「演歌とはどんな歌?」と聞かれたら、皆さんはなんと答えるでしょうか。
古い歌?
昔からある歌?
なんだか物悲しい歌?
着物を着て歌う歌?
こぶしを効かせて歌う歌?
どれも正解のようで、しかしどれも演歌のすべてを表現できていない気がします。そして、演歌がいったい何であるのかを考えると同時に、「歌謡曲とは何か?」という疑問も浮かんできます。演歌の定義、演歌と歌謡曲の違いなどを調べてみても、しっくりくる答えにはなかなか辿り着けません。演歌と歌謡曲の定義はどうやら非常に曖昧なようです。
作詞の授業で、演歌や歌謡曲の歌詞を添削する機会がたびたびあります。2022 年に出版した『作詞入門』では、ポップスを基軸とした作詞方法について解説していますが、演歌や歌謡曲となるとまた異なる作詞方法が必要に思えました。令和である今も「演歌」というジャンルはありますし、演歌の新曲は途絶えることなくリリースされています。また、演歌の歌詞を書いてみたいという声もよく耳にします。
演歌が流行していた時代に演歌の歌詞を書くことと、令和の現代に演歌の歌詞を書くことは、異なるアプローチが必要なのではないか。そして、現代のポップスとの違いを確認しながら演歌の作詞方法を見出すことは、令和の今だからこそできる面白い試みなのではないかと思い、本書を執筆するに至りました。
本書は、令和の時代に、演歌の歌詞を書くことを目指した本です。昭和や平成の時代では見えてこなかった発見がきっとあるはずです。
さあ、演歌の歌詞の世界をともに紐解いていきましょう。
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