永野 光浩(著)
A5判 416頁 並製
定価 2,860円 (内消費税 260円)
ISBN978-4-7998-0169-7 C1073
在庫あり
奥付の初版発行年月 2018年09月 書店発売日 2018年08月27日 登録日 2018年08月03日
音楽を聴きとって、楽譜にしたりその通りに演奏したりすることを「耳コピ」という。本書はその「耳コピ」ができるようになるための入門書。弊社刊行の同じ著者による『耳コピ力アップ術』をより分かりやすくした、基礎編ともいえる本。耳コピができるようになるための予備練習が150と、30曲の実践曲でそれぞれ順を追って聴き取る練習ができるようになっている。聴き取る音素材は弊社サイトに用意され誰でも聴ける。最初のやさしい聴き取りから、少しずつ難しくなる予備練習と、実際の楽曲をパート別に聴き取る練習ができる楽器別の聴き取りで「耳コピ」の基本がバッチリおさえられる。本書をマスターすれば、やや難易度の高かった『耳コピ力アップ術』での高度な技にもチャレンジ&クリアできるだろう。『音を大きくする本』や『DTMトラック制作術』など、数々の人気指南書を書いてきた著者ならではの、ユニークでわかりやすい、耳コピ・トレーニングブック。
▼予備練習
第1章 聴音をやってみよう
1・まずは1曲トライ
2・聴音のやり方
3・基本の課題① 聴音課題001〜010
4・基本の課題② 聴音課題011〜020
5・8分音符を使った課題 聴音課題021〜030
6・応用課題 聴音課題031〜050
7・跳躍進行を含む課題 聴音課題051〜070
8・臨時記号を含む課題 聴音課題071〜090
9・マイナー課題にチャレンジ 聴音課題091〜110
10・Cメジャー、Aマイナー以外 聴音課題111〜150
Gメジャー/Fメジャー/Dメジャー/Aメジャー/Dマイナー/Gマイナー/Eマイナー/Cマイナー
▼バンド耳コピの実際
耳コピをはじめる前に
1・課題曲について
2・DAWへの課題曲ファイルの配置について
3・課題曲ファイルの再生環境について
4・再生・停止はキーボードのショートカットが必須
5・使用する五線について
▼バンド耳コピの実際
第2章 ベースの耳コピ
1・楽器を知る
2・M01のベース・パートを耳コピする(1〜3小節め)
3・M01のベース・パートを耳コピする(4小節め)
4・M01のベース・パートを耳コピする(5〜8小節め)
5・M02〜M10のベース・パートを耳コピする
6・M11〜M15のベース・パートを耳コピする
7・M16〜M20のベース・パートを耳コピする
8・M21〜M25のベース・パートを耳コピする
9・M26〜M30のベース・パートを耳コピする
▼バンド耳コピの実際
第3章 ドラムスの耳コピ
1・楽器を知る
2・M01のキックを耳コピする
3・M01のスネアを耳コピする
4・M01のハイハットを耳コピする
5・M01のクラッシュを耳コピする
6・M02〜M10のドラムス・パートを耳コピする
7・M11〜M15のドラムス・パートを耳コピする
8・M16〜M30のドラムス・パートを耳コピする
▼バンド耳コピの実際
第4章 ギターの耳コピ
1・楽器を知る
2・M01のコード進行
3・M01のアコースティックギター・パートを耳コピする
4・M02〜M04のアコースティックギター・パートを耳コピする
5・M05を使ってコードネームの導き方を解説①
6・M06を使ってコードネームの導き方を解説②
7・M07〜M10のアコースティックギター・パートを耳コピする
8・M11〜M15のアコースティックギター・パートを耳コピする
9・M18、M20のアコースティックギター・パートを耳コピする
10・M01〜M10のエレキギター・パートを耳コピする
11・M11〜M15のエレキギター・パートを耳コピする
12・M16〜M20のエレキギター・パートを耳コピする
13・M21〜M25のエレキギター・パートを耳コピする
14・M26〜M30のエレキギター・パートを耳コピする
15・ギター・ソロを耳コピする
▼バンド耳コピの実際
第5章 キーボードの耳コピ
1・キーボードの耳コピのコツ
2・M01のエレピ・パートを耳コピする
3・M02〜M20のエレピ・パートを耳コピする
4・M01〜M15のピアノ・パートを耳コピする
5・M16〜M20のピアノ・パートを耳コピする
6・M21〜M25のピアノ・パートを耳コピする
7・M26〜M28のピアノ・パートを耳コピする
8・M29、M30のピアノ・パートを耳コピする
▼最後に……
耳コピ3つのお助け術
お助け術その1・ボーカルをキャンセルする
お助け術その2・低音を聴きやすくする
お助け術その3・速いフレーズをゆっくり耳コピする
おまけのおまけ……・「Transcribe!」
あとがき
M01〜M30の解答用五線とその解答
音楽を聴くとき、私自身はどのパートを聴いているのかをあらためて考えてみた。すると「このベースのフレーズがカッコいいな!」とか、「スネアの響きがシャープだな!」というようにボーカル・パート以外の音を聴いていることがわかった。もちろんボーカルも耳に入るが、その場合でも「ボーカルがすごく高い音を歌っているな」というように聴いているのであって、歌詞はまったく聴いていない。英語の歌を聴いているように日本語の歌を聴いているといえばわかりやすいかもしれない。皆さんはどうだろう?
以前、こんなことがあった。
私が教えている地元の音楽教室でベースラインの耳コピの仕方を説明していたときのことだ。耳コピ対象としていたのはボーカル、ピアノ、ベース、パッド的なストリングスという小編成のミディアムテンポの曲だ。
歌いはじめのそのコードはC。ピアノは8分音符のアルペジオ、ベースはコードのルート音であるCをロングトーンで“ぶーーーん”と弾いているだけのとてもシンプルなアレンジだ。耳コピ初心者のその生徒に、私はまずその出だしのベースが何の音かを確認させようとしたら、その生徒は「ついついボーカルを聴いてしまいます。ベースは聞こえません……」というのだ。シンセサイザーの似たようなベース音色でC音を出しながら、“こういう音が聞こえるよ”と先にベースの音を聴いてもらってから実際の曲を聴いてみてもやはり同じだ。
いろいろ話を聞いてみると、普段から曲を聴くときにはボーカルしか聴いていないのだそうだ。低い音が入っているのはわかるけど、ベースの音としては聞こえないという。
その後、何度も繰り返し原曲とシンセサイザーのベース音とを交互に聴いていくうちに、ようやくその生徒は、“あっ、何か聞こえるような気がする!”といいはじめ、あとはコツをつかんだようで次第に聞こえるようになっていった。
このことから、耳コピができる、できないは、良い耳を持っているかどうかではなく、慣れの問題であることがわかる。
弾き語りのポピュラー系作曲家になりたいのだったらボーカルばかりが聞こえるというのもアリかもしれないが、トラックメイキングを含めた作曲家になりたいのであれば、ボーカル以外のパートも聴き分けられる耳を持たなければならない。ましてや耳コピをマスターしたいのであれば、なおさらである。
そういうわけでこの本は、ドラム、ベース、ギター、キーボードなどいくつもの楽器が重なって聞こえているなかから目的のパートを耳コピできるようになるための本だ。しかも細かいニュアンスまでを聴き取る完コピを目指している。耳コピのためのポイントをたくさん書いたが、課題曲も多く用意したので、耳コピに慣れていただきたい。
「予備練習」の第1章では、昔から音大の受験科目の1つとしておこなわれている“聴音”にトライしてもらう。手もとに楽器を持たずに音を聴き取って五線に書いていくのだ。楽譜に不慣れな方も、この章でしっかり楽譜も書けるようになるだろう。また、この第1章は拙著『耳コピ力アップ術』と同じような内容となっている。すでにそれを実施された方は、この章を“追加課題”として考えていただければよい。
「バンド耳コピの実際」は第2章からはじまる。最初はベースを耳コピできるようになるための章だ。続く第3章はドラム、第4章ではギター、第5章ではキーボードを耳コピする。
本書で鍛えた耳を使って、先人のさまざまな演奏を聴き分け、ご自身の演奏や、またトラックメイキングに役立いただければ、こんなに嬉しいことはない。
本書発売の約3年前に刊行された同じ著者による『耳コピ力アップ術』。刊行時には「新しい耳コピ参考書の定番が出た」と話題になり、多くの方からご好評をいただくと同時に、「がんばってはみているけれど難しい」という声も聞かれました。『耳コピ力アップ術』には絶対の自信がある著者が、そうした声にどう応えるか。考えに考え抜いて、作り出したのがこの本です。
著者が耳コピ初心者の人から話しを聞いてみると、音楽を聴く時にはメインの旋律やボーカル、特徴的なサウンドにしか耳がいっていないことにあらためて気付いたといいます。例えば、低い音は聞こえるけれどベースの音としては聞こえていない人が多いのです。そこで、そうしたパートと原曲を繰り返し聴いてもらうと、だんだんと聴き取れるようになるという。音の聴き取りは「良い耳」を持っているとかではなく、繰り返しの練習でできるようになるとわかったそうです。
そうした背景から、本書ではまず予備練習として、ただただ音を聴いて、それが何の音かを聴き取る練習をします。様々な調と音型、リズムで150の課題を用意しました。さらに、実戦的に練習するために30曲を準備。その30曲では、パート別に聴き取る練習をします。PCのDTMソフトを使ってパートを増やしたり減らしながら聴き取る方法も紹介しています。ベース、ドラム、ギター、キーボードと順に耳コピをしていきます。これもまた、いくつもの変化するパターンが用意されています。
この本は、『音を大きくする本』や『DTMトラック制作術』など、長く版を重ねてきているわかりやすい定番指南書を何冊も書いてきた著者ならではの、ユニークでわかりやすい内容が特徴です。本書で鍛えた耳で、『耳コピ力アップ術』に取り組めば、さらに高度な耳コピ、完コピができるようになるでしょう。『耳コピが基礎からできるようになる本』と『耳コピ力アップ術』を活用して、演奏やアレンジなど音楽活動の幅を広げていただければ幸いです。
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