永野 光浩(著)
A5判 336頁 並製
定価 2,860円 (内消費税 260円)
ISBN978-4-7998-0144-4 C1073
在庫あり
奥付の初版発行年月 2015年12月 書店発売日 2015年11月20日 登録日 2015年10月30日
音楽を聴きとって楽譜にしたりその通りに演奏したりする「耳コピ」ができるようになるための勉強法を具体的に指南する本。広範囲の知識とその使い方や見つけ出すテクニックを伝授。数々の定番書を書いてきた著者ならではの本。
音楽を聴きとって、楽譜にしたりその通りに演奏したりすることを「耳コピ」という。本書はその「耳コピ」ができるようになるための本。耳コピができるようになるためには、耳の訓練、コード(和音)のしくみ、コード進行、調や音階といった広範囲にわたる知識と、それを実際の音楽の中から見つけ出していくテクニックが必要。本書ではそれらを独自の方法で解説し、この本の通りに練習していくことで、それらのテクニックが身に付くように作られている。「耳の訓練編」では、耳を鍛えると同時に、楽譜の読み書きが出来るようになることも目標としている。楽譜が苦手な人は、読譜力を身につけることもできる。『音を大きくする本』や『DTMトラック制作術』など、数々の人気指南書を書いてきた著者ならではの、ユニークでわかりやすい、耳コピ方法ガイドブック。
もくじ
まえがき
《耳の訓練編》聴音をする
1 聴音とは
2 聴音のやり方
3 聴音をたくさんやってみる
4 補充課題と本書以外の聴音課題をやってみる
5 16分音符を使った聴音をやってみる
6 マイナー曲にも挑戦
7 和音聴音に挑戦
8 課題曲を作ってみよう
《理論編①》コード進行を手中に
1 素敵な彼女にいよいよプロポーズする
2 2→5→1
3 ヒット曲のコード進行を調べる
4 2→5→1が多用される理由
「減5度」とは?
減5度を波形で見る
ドミナントモーション
7thコードの周波数比
ベースの動きに着目する
トゥーファイブに潜む音のぶつかり
5 ピンボール
6 ドミナントモーションのさらなる拡大
7 マイナーも考え方はまったく同じ
dimコードとm(b5)コードの違い
8 他のキーのコードを拝借する(ノンダイアトニックコード)
【ノンダイアトニックコードの用法1】メジャーキーの曲で、マイナーキーからコードを拝借する
【ノンダイアトニックコードの用法2】主和音以外のダイアトニックコードを一時的に主和音とし、そのドミナントコードを使う
9 理論編①のまとめ
2→5→1をマスターする
フレット上の音名を覚える(ギターの場合)
10 コードのファミリー化
ドミナントコードファミリー(Do)
m7(b5)コードファミリー(m7(b5))
メジャーコードファミリー(M)
マイナーコードファミリー(m)
11 ベース音から見るコードの可能性
ダイアトニック音の場合
ノンダイアトニック音の場合
《理論編②》基本を学ぶ
1 音程
2度音程
3度音程
5度音程
7度音程
2 コードネーム
3音からなるコード
4音からなるコード
5音からなるコード
特殊なコードネーム
コードの音を省略する
コードを重層的に捉える
分数コード(オンコード)
3 キー(調性)
4 音のぶつかりを考える
音がぶつかるということ
音のぶつかりの定義
ぶつかることがいつも悪いわけではない
《実践編》耳コピはこうする
1 耳コピの道具
2 ソフトの起動と諸設定
新規ファイルの作成
ショートカットを設定する
3 ピアノ曲の耳コピ
バッハ作曲『平均律第1巻』 No.1 「Prelude」(冒頭部分)
課題曲のオーディオファイルをDAWへ読み込む
テンポの入力
音出しのための楽器の準備
耳コピの実際
4 バンドスタイル曲の耳コピ
ベートーヴェン作曲ピアノソナタ第8番 第2楽章(冒頭部分)
DAWの準備
キーの判定
メロディを聴き取る
ベースを聴き取る
ベースの動きからコードを推測する
推測結果からコードを見つける
前半8小節のコード
後半9小節のコード
ドラムスのコピー
完成楽譜
2→5→1の全調楽譜
あとがき
耳コピが出来るようになれば、楽譜がなくても好きな曲が弾けるようになる。また、作曲を勉強している人にとっては、曲がどのように出来ているかが分かるので、それは重要な資料となるだろう。さまざまな場面で耳コピは活躍するが、そのスキルを身につけることは簡単ではない。”こうやれば簡単に耳コピが出来るようになりますよ!”と書ければ良いのだが、そう言う方法は存在しない。耳コピが出来るようになるためには、耳の訓練、コードのしくみ、コードプログレッション、スケールなどと言った広範囲に渡る知識と、それを実際の曲の中で使っていくテクニックが必要だ。本書ではそれらを独自の方法で解説している。決して低い山ではないが、一つ残らず自分のものとしてほしい。また、本書冒頭の「耳の訓練編」では、耳を鍛えると同時に、楽譜の読み書きが出来るようになることも目標としている。楽譜が苦手な人は、ここで楽譜力も身につけてもらいたい。
本の構成
耳コピとは、”音を聞いてその音を探し出す”ことだから、まずは耳を鍛えなくてはならない。本書では最初の「耳の訓練編」で”聴音”という耳の訓練法を説明している。そこで用いた音素材はYouTubeへアップしているので、実際に音を聞いて耳を鍛えることができるようになっている。
次に「理論編」を設けている。音を聞き分けると言っても広大な砂浜の中から一粒の砂を探すのではなく、「この辺りにあるだろう!」という目星をつけながら音を聞く。この目星をつけるために”理論編”がある。世の中の殆どの音楽は音楽理論と整合性を保っている。たとえ作曲者が音楽理論を知らずに作ったとしてもだ。なぜなら、音楽理論は先人たちが”良いサウンドだ”と感じたことを文字化したものだからだ。私はJ-Pop曲を中心にオルゴールアレンジの仕事もしている。これまで何曲アレンジしたか数えてはいないが数百曲にはなるだろう。その中で、理論では説明出来ない音を持った曲は2曲だけ(その2曲は何れも同じバンドの曲)だったし、その2曲にしても、曲全体の中のある一カ所だけだった。
最後の「実践編」では、この”鍛えた耳”と”理論”の両輪を耳コピの中でどのように使ってゆくのかを、本書のためにアレンジ・コンピュータ入力した2曲を使って説明している。1曲はピアノ曲で、すべての音を聞き取り、そこからコードネームを導きだして行く。もう1曲はバンドスタイルの曲で、サウンドの中から目的の音をいかに聞き取るかのコツ・方法を説明し、最後には、読者の方に、すべての音の完コピ(※)に挑戦してもらう内容となっている。
”鍛えた耳”と”理論”と”コツ”、この3つが耳コピには必要なのだ。
※ ここでの完コピは音符のコピーに限定している。音色ニュアンスや、エフェクター等音符以外の要素は本書では除外している。
音楽を聴きとって、楽譜にしたりその通りに演奏したりすることを「耳コピ」といいます。さらに、大まかなラインだけでなく完全に聴取することを「完コピ」といいます。この本はその「耳コピ」ができるようになるための本です。そして、さらに「完コピ」も目指します。
「こうすれば簡単に耳コピができるようになるという近道はない」と著者が書いている通り、本書を読んだからといって一朝一夕に耳コピができるようになるわけではありません。しかし、本書をよく読んで一歩一歩着実に練習していけば、必要なテクニックが身に付きます。そして、必要なテクニックはこの1冊に書かれています。
耳コピとは、“音を聞いてその音を探し出す”ことですから、まずは耳を鍛える必要があります。「耳の訓練編」のセクションでは、「聴音」という耳の訓練法を説明しています。音大生も勉強するこの耳の訓練法。ポップスなどの音楽を耳コピする時にも役立つ方法です。練習に使う音素材をネット上で実際に聴いてみることもできるので、実際に音を聞いて大いに耳を鍛えてください。また、耳を鍛えると同時に、楽譜の読み書きが出来るようになることも目標としているので、楽譜が苦手な人は、楽譜力を身につけることもできます。
「理論編」では、広大な砂浜の中から一粒の砂を探すように音を見つけるのではなく、「この辺りにあるだろう」という目星をつけながら音を聞くために必要な音楽理論が解説されています。
「実践編」では、この“鍛えた耳”と“理論”の両輪を耳コピの中でどのように使ってゆくのか、本書のためにアレンジした2つの曲を使って説明。1曲はすべての音を聞き取り、そこからコードネームを導きだして行くために。もう1曲は、サウンドの中から目的の音をいかに聞き取るかのコツや方法を習得してもらうため。最後に、すべての音の完コピに挑戦してもらう内容となっています。具体的な作業を効率よくするテクニックとして、PCソフト(DTMソフト)を使う、ちょっとユニークな方法も紹介し、実際の耳コピを手助けするも説明しています。
この本は、『音を大きくする本』や『DTMトラック制作術』など、長く版を重ねてきている定番指南書を何冊も書いてきた著者ならではの、ユニークでわかりやすい内容が特徴です。本書を読んで、耳コピを楽しんでください。
書籍に掲載された課題音源やサンプルデータは、https://www.stylenote.co.jp/0144/から聴くことができます。
上記内容は本書刊行時のものです。在庫あり
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