中村 誠(著)
B5判 112頁 並製
定価 2,750円 (内消費税 250円)
ISBN978-4-7998-0128-4 C3073
在庫あり
奥付の初版発行年月 2014年10月 書店発売日 2014年09月19日 登録日 2014年09月03日
カバーの美しいイラストを本書のために描いてくださったのは宮原葉月さん。『ホテル・モーリス』(講談社)や『遠回りがいちばん遠くまで行ける』(幻冬舎)など数々の書籍装幀の他、最近では『anan』(マガジンハウス)の表紙イラストなども描いています。その他、ドコモの広告やイオンの広報誌のイラストなども手がけています。
音を色で感じながら音楽能力を育てていく音色奏法。和声と色を関連づけて作品のハーモニーを習得していくことで、作品全体の理解度が高まり、より音楽的な演奏能力も上達する新しいピアノ練習法を解説。
音を色で感じながら音楽を感じ取る能力を育てていく。それが音色(おんしょく)奏法。色を塗りながらハーモニー(和声)の感覚を習得していくことで、作品全体の理解度も高まり、より音楽的に演奏することができるようになる新しいピアノ練習法。先生自身がこの方法でピアノの能力を高めることはもちろん、子どもたちが音楽感覚を身につけるために授業で実践したり、鑑賞指導に取り入れるなどの指導する側のための実践例も紹介されている。
はじめに
第1章 音色奏法とは
1.音色(おんしょく)奏法との出会い
・自然に囲まれて
・S先生に学ぶ
・和音のイメージを色彩で表す
2.子どもたちの、和音に対する色彩感
・和音に色を塗らせる
・ピアノで和音を鳴らし、「色」を答えさせる
3.音色奏法の効用について
・音色奏法の効用1 子どもたちをピアノの魅力に触れさせる
・音色奏法の効用2 和音の響きの変化に興味をもつようになる
・音色奏法の効用3 音楽に積極的に耳を傾け、反応するようになる
・子どもたちに後押しされて
・指導上の配慮について
第2章 色彩と音との関係
1.色彩心理学における「色」と音楽表現との関係
・暖色・寒色と音楽表現との関係
・個々の“色のイメージ”と音の響きとの関係
2.音楽における音色
・色と音との深い関係について
・音楽と色彩の融合
3.トーンカラーのつけ方の例
・4種類の和音のトーンカラー
コラム:4種の三和音の補足説明
・音色奏法を体験してみよう
4.和声外音とイメージカラー
・和音記号について
・和声外音とは
・和声外音を伴った和音とトーンカラー
・和声外音を伴った響きを体験してみよう
5.和声外音の練習法
第3章 トーンカラーの練習ー基礎編
1.R.シューマン《異国から》「子どもの情景」より
コラム:ピアノが上手になるために
2.R.シューマン《はなうた》「子どものためのアルバム」より
3.R.シューマン《最初の損失》「子どものためのアルバム」より
4.R.シューマン《小練習曲》「子どものためのアルバム」より
5.P.チャイコフスキー《新しいお人形》「子どものためのアルバム」より
6.F.ブルグミュラー《アヴェマリア》「25の練習曲」より
7.E.マクダウェル《野ばらに寄す》
コラム:ペダルを上手に使おう
8.C.グルリット《マーチ》「子どものためのアルバム」より
9.C.グルリット《失ったもの》「子どものためのアルバム」より
10.R.シューマン《詩人のお話》「子どもの情景」より
イメージトーンカラーのつけ方とその効用について
第4章 トーンカラーの練習ー応用編
・C.グルリット まじめになって
・R.シューマン おねだりする子ども
・C.グルリット あこがれ
・F.シューベルト 作品142の3 アンプロンプチュのテーマより
・R.シューマン トロイメライ
第5章 音色奏法を用いた指導の実際
1.鑑賞やソルフェージュの指導に生かす
・E.ワルトトイフェル《スケーターズワルツ》を用いて
2.ピアノの名曲を鑑賞に役立てる
・J ブラームス《ピアノのためのワルツ作品39》からNo15
・E エルガー《愛のあいさつ》
3.子どもたちの想像力をより広げるための応用例
・曲名当てクイズに用いて
・学校行事に生かす
第6章 指導者のためのピアノ練習課題
1.4種の三和音基本形の練習
2.和声外音の練習
・和声外音が高音部にある場合
・和声外音が内声にある場合
3.やさしく弾ける音階と和声
あとがき
この本は、幼稚園や学校の先生方、また音楽教室などで音楽を教えておられる先生方のためのピアノ上達法について書かれたものです。
先生方は、毎日、多くの園児、児童、生徒の前でピアノを弾いておられます。それは歌や楽器の伴奏であったり、場の雰囲気をもりあげるための音楽であったりします。また発表会などの練習の指導に際して、お手本として演奏することも多々あるでしょう。
そのように多くの場面でピアノが用いられているわけですが、ということは、子どもたちの音楽に対する「耳」の大部分が、先生方のピアノ演奏によってつくられるということになりませんか。
ピアノの音が鳴った瞬間、たとえそれが短いフレーズであれ伴奏部分であれ、子どもたちの「耳」は、その音・音楽に集中します。そして、そのことの積み重ねが、子どもたちの音楽的な感性を育んでいくのだと思えば、あだやおろそかには演奏できないことに気づくでしょう。そのため、わたしたち指導者には、音・音楽に対する深い注意力と、それを音楽に表すためのいろんな技術力が求められます。もっというならば、ピアノが本来もっている無限の表現力を十二分に引き出すことのできるテクニックが必要ということになります。
作曲家がわずが数小節つくるのに、何時間も費やすということも稀ではありません。そうして生み出された個々の作曲家が意図する瞬間瞬間の音色や質感などの変化は、生演奏の生命線といえます。その生命線を生かすテクニックを習得するには、それ相応の練習が必要となります。
しかしながら、現実にはなかなかそうはまいりません。日夜、目の前の教材準備や基本練習などに追われて、演奏の音楽的な細かい部分の表現にまで神経が行き届かないというのが正直なところで、わたしにも経験があります。
そこで、そんな先生方のためにと思って編み出されたのが、この「音色(おんしょく)奏法」なのです。音色奏法とは、ひと口にいうならば、音楽のなかに無数にある和音の特徴を、一つひとつ色のイメージを伴って聴いたり表現したりする練習方法ということができます。
短い時間のなかであっても、ちょっとこんなことに注意しながら練習しさえすれば、先生方の奏でる音楽はきっと変わってくるはずです。「ここの部分のハーモニーは、こんなイメージの色で弾きたい」といった前向きな練習の積み重ねが、やがて先生方の「個性あふれる色彩豊かな演奏」となり、そしてそのことが、さきに申しあげた、子どもたちの豊かな音楽性の伸長にもつながるものと確信しております。
また直接ピアノを演奏しなくても、歌やコーラス、ほかの楽器の伴奏楽器として、背景にあるハーモニーなどの役割をじゅうぶん認識することが、自身の楽器の演奏法を見出す大きなヒントとなりえます。
これを機に、先生方の日ごろの演奏がますます輝きを増し、より大きな自信をもつきっかけとなっていただければ幸いです。どうぞ一度お試しください。
クラシックの有名な作曲家には音を色で感じていた人が何人もいたそうです。中には、色の記録を残していた人もいるとか。本書は、和声の響きを色と関連させることで、和声の感覚を習得し、作品全体の理解を深めていこうとするピアノ練習法です。上手に弾くだけでなく、より音楽的に演奏するためにはどうしたらよいのか。本書にはそのことが書かれています。実際のピアノ曲をいくつも収録して、音色奏法を実践する場合の注意点などが書かれています。さらに、この音色奏法を子どもたちの指導に使ったり、子どもたちが実際に楽譜に色を塗りながら音楽の理解を深めていく授業法などについても解説されています。実際に授業で使うために、子どもたちに配るワークシート例なども掲載されています。
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