平野 昭(著/文 他)
四六判 216頁
価格 1,980円 (内消費税 180円)
ISBN978-4-276-21533-7 C1073
在庫あり
書店発売日 2020年03月19日 登録日 2020年01月31日
名曲が生まれた当初、聴衆が受けた衝撃を私たちは知らない。今やすっかり「定番」になっている音楽に秘められた「革新」は何だったのか――。
ベートーヴェンの創作の真意にせまるべく、ベートーヴェン研究の第一人者のナヴィゲートで当時へタイムトラベルしてみよう!
交響曲、ピアノ曲、弦楽四重奏曲、協奏曲などのよく知られた名曲には新たな角度から光をあて、カンタータなど、演奏機会は少ないがベートーヴェン作品理解に不可欠な作品も取り上げる。
音楽素材や表現方法、作品どうしの秘められた関連から、当時の演奏会プログラム・楽譜・楽器の進化、パトロンや演奏家との関係、社会的背景や歴史的事件にまで目配りをし、世界の最新の研究も盛り込まれ「知られざるベートーヴェン」に出会える。
『音楽の友』の人気連載「名曲タイムトラヴェル~真の鑑賞術~」からの書籍化(加筆修正含む)。
はじめに
1 ベートーヴェンの交響曲を聴く醍醐味
交響曲第1番~第8番/《第九》の壮大な仕掛け!/《ミサ・ソレムニス》と《第九》に底流するもの
2 メヌエットか、スケルツォか?
楽章表記とメトロノーム表記からテンポを考える/交響曲第1番、第2番/交響曲第4番、第8番/まとめ――メヌエットとスケルツォの区別は困難
3 バレエ音楽《プロメテウスの創造物》は生命の源泉
サルヴァトーレ・ヴィガーノのウィーン登場/交響曲やピアノ変奏曲の原点
4 メディアとしての編曲版
19世紀ヨーロッパの音楽文化を支えた陰の主役/《ウェリントンの勝利あるいはビトリアの戦い》
5 ピアノの進化とピアノ・ソナタ、ピアノ協奏曲
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンとピアノ/ワルター製、シャンツ製ピアノの音域拡張を物語るソナタ/エラール製ピアノと《ヴァルトシュタイン》《アパッショナータ》/《テンペスト》《葬送》《月光》《ハンマークラヴィーア》のペダル/《皇帝》とモーツァルトのピアノ協奏曲第20番のカデンツァ
6 ベートーヴェンと50人の《ディアベッリ変奏曲》
シューベルトやリストも参加した変奏曲/50の変奏曲の内容と連続性の謎/ベートーヴェン入魂の傑作
7 ゲーテの悲劇『エグモント』のための音楽
時代背景としての《告別ソナタ》/史実とフィクションのエグモント伯爵/『エグモント』初演と知られざる日本上演
8 もっと演奏してほしい! トリプル・コンチェルト
カラヤン&ベルリン・フィルとソ連の巨匠たちの奇跡の共演/三重協奏曲か、協奏交響曲か/パリ移住計画は何を意味するのか
9 協奏曲様式の時代を画したヴァイオリン協奏曲
古典様式とロマン主義様式の転換点/「運命動機」を内包する開始主題
10 カンタータ《栄光の瞬間》&《音楽芸術賛美》
ウィーン会議に列席した人々を熱狂させた大作/実は愛国心が強かったベートーヴェン/《栄光の瞬間》の歌詞と音楽
11 宮廷楽士ベートーヴェンによる二つの皇帝カンタータ
《皇帝ヨーゼフ2世の死を悼むカンタータ》の時代背景/《ヨーゼフ・カンタータ》に見られる宗教性と叙事詩的特徴/《レオポルト・カンタータ》――モーツァルトとの運命的「すれ違い」
12 ゲーテの詩によるカンタータ《静かな海と楽しい航海》
ベートーヴェンとゲーテ/「標題音楽」「交響詩」を先取りしたベートーヴェン
13 謎に満ちた音楽《合唱幻想曲》とは?
大失敗に終わったベートーヴェン主催の大アカデミー/「幻想曲」に共通する構成原理/歌詞の作者問題と《第九》との関連
14 創作の究極ジャンルとしての弦楽四重奏曲
シュパンツィヒ弦楽四重奏団の変遷/ガリツィン・セットとシュパンツィヒ/シュパンツィヒ/ベーム弦楽四重奏団による演奏会/作曲人生、究極かつ理想の到達点/絶筆「そうあらねばならない」とカノン
あとがき
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