目黒 真二(著)
A5判 160頁 並製
定価 2,200円 (内消費税 200円)
ISBN978-4-7998-0223-6 C1073
書店発売予定日 2025年11月18日 登録日 2025年10月24日
ライブPAの基礎から現場対応までをQ&Aでやさしく解説。マイク/ミキサー/AUXやゲイン調整、ハウリング対策、DI活用や電源の扱いも網羅。準備から撤収まで実践的に学べる入門書。高校生にも読みやすく学園祭なでも活用できる。
いざ本番という時に“良い音”をステージから客席へ確実に届ける……そのための基礎と現場感覚を、一冊に凝縮。本書は、PAを志す初心者から経験者、さらには出演者までを視野に入れ、Q&A形式でわかりやすく解説。マイク/ミキサー/アンプ/スピーカーの役割と接続、ゲインとフェーダーの違い、AUXのPRE/POST、電源投入の順番などの必須事項から、ハウリング対策、D.I.の使い分け、必要出力の目安やスピーカーの高さの考え方まで、実務に直結する要点を丁寧に示した。加えて、サウンドチェックやリハから本番・撤収までの流れ、客入れで高域が「吸われる」現象への備え、ハムノイズの原因切り分けなど、現場で効くノウハウを具体例で紹介。「八の字巻き」「卓」「小屋」「バラし」「介錯」などの用語も押さえ、コミュニケーションの勘所も網羅。業界で一般的な手順も説明しつつ、今日の現場に通用する“聴きやすい音”作りへと力強く導く、頼れる入門兼実践ガイド。
■「PAってなんですか?」ー 「はじめに」に代えて
■PAシステム編
Q:001・PAって何をそろえればいいのですか?
Q:002・各機器の電源の入れ方に決まりはありますか?
Q:003・PA(イベント)の流れについて教えてください。
Q:004・小規模(学校の教室くらいの)ライブで、とりあえずPAをはじめるなら、どんなものがいいですか?
Q:005・音楽用というわけではなく、会議、講演会でとりあえず1本、マイクがあればいいんですが……そんなに本格的な機材じゃなくてもOKです。どんなものを用意すればいいですか?
Q:006・PAエンジニアって楽譜を読めたほうがいいのでしょうか?
Q:007・PAエンジニアって楽器が演奏できたほうがいいのでしょうか?
Q:008・PA現場でよく使う小物類を教えてください。
Q:009・PAでヘッドフォンなんて使うのですか? どんなときに使うのでしょうか?
Q:010・イベントではどれくらいの出力数(ワット数)を考えればよいですか?
Q:011・PAの消費電力ってどれくらいですか?
Q:012・イベントなどでPAの人が「チェックワンツー」って言っています。何をやっているのですか?
Q:013・ミキサーやオーディオインターフェースに「Hi-Z」と記した入力やボタンがあります。「Z」とはなんのことですか?
Q:014・アンプとスピーカーのカタログにオーム(Ω)という単位があります。学生の頃、「オームの法則」というのを習った記憶があるのですが……PAと関係があるのですか?
Q:015・カラオケ大会のPAを任されました。自慢の機材を持っていったのですが「声の響きが違う」といわれました。何が悪かったのでしょうか?
Q:016・システムを大きくしたいのですが、どうしたらいいですか?
Q:017・メインスピーカーはどこに置くのがよいのでしょうか?
Q:018・複数の出演者がいるイベント、リハ(リハーサル)の順番はどうしたらいいですか?
■マイク編
Q:019・マイクはどのようなものを用意すればいいですか?
Q:020・マイクと口の適切な距離はどれくらいですか?
Q:021・バンドのPAで、マイクは楽器のどこを狙えばいいのでしょうか?
Q:022・コンデンサーマイクには電源が必要だと聞きました。どうすればいいでしょうか?
Q:023・ハウリングしやすいマイクとしにくいマイクってあるんですか?
Q:024・ドラムにマイクを立てる場合、どのパーツにどのように立てるのでしょうか?
Q:025・マイクにオン/オフスイッチがついていません。ついていたほうが便利なのになぜですか?
Q:026・マイクにスイッチがついているのですが、オン/オフではないようです。どんなときに使うのでしょうか?
Q:027・現場でボーカリストから「自分がいつも使っているマイクで歌いたい」といわれました。どんな点に気をつければいいですか?
Q:028・○○みたいなマイク、使いたいっていわれたのですが……
Q:029・マイクホルダーにマイクがはまらないのですが……
Q:030・マイクスタンドにマイクホルダーがはまらないのですが……
Q:031・なんかマイクから足音がすごく聞こえてくるんですが……それからビビビ、という感じの音もしています。防ぐ方法はありますか?
Q:032・ワイヤレスマイクで歌いたい、と希望されています。これから購入しようと思いますが、注意点はありますか。
Q:033・ボーカルのマイクに、歌といっしょに「ブワ」「パフ」というノイズが入ります。
Q:034・ドラマーがヘッドセットマイクで歌いたい、といっています。使用に当たっての注意はありますか。
■ミキサー編
Q:035・そもそもミキサーって何をするものですか?
Q:036・1つのチャンネルにすごくたくさんのツマミがついています。何をするためのものなのでしょうか
Q:037・ゲインとフェーダーの関係がわかりません。
Q:038・入力の音量は、何を基準にして調整すればいいのでしょうか?
Q:039・エレキギターだとボリュームは0から10の間で調整します。でもミキサーのフェーダーは、「0」の上にも下にも移動できるようになっていて、一番下には「∞」とあります。これはなぜなのでしょうか。
Q:040・ミキサーのマニュアルを読んでいたら、イコライザーの部分に「ピーキング」と「シェルビング」というのがあります。どう違うのでしょうか?
Q:041・使っているミキサーのイコライザーのツマミには、High、Lowが1つずつなのに対して、Midは2つついています。なぜですか?
Q:042・使っているミキサーは、チャンネルにEQがあり、マスターにもEQがあります。どうして二重にEQがあるのでしょうか。
Q:043・キーボードのチャンネルのゲインを下げてもまだ音が大きくて、フェーダーをギリギリまで下げています。どうしたらいいですか?
Q:044・AUXのところに「PRE」とか「POST」と書いてあります。何が違うのですか?
Q:045・ミキサーは会場のどこに置いたらいいですか?
Q:046・PAで使うミキサーとDJミキサーとの違いは何ですか?
Q:047・ミキサーの入力数が足りません。そうかといって、大きなミキサーを購入する予算もありません。仲間に聞いても、同じくらいの入力数のミキサーしか持っていないみたいなんです……。
Q:048・ミキサーの入力でMIC/LINEという端子があります。マイクはわかりますが、ラインって何ですか?
Q:049・スマホやパソコンをミキサーにつないで鳴らしたいのですが、どうしたらいいですか?
Q:050・使っているミキサーはUSB端子でパソコンとつなげられるみたいですが、どんな使い方がありますか
Q:051・ミキサーは、フェーダーのものとツマミのものがありますが、どう違うのでしょうか?
Q:052・アナログミキサーとデジタルミキサーって何が違うのですか?
Q:053・チャンネルに「1-2」「3-4」「ST」などのスイッチがあります。STはおそらくステレオで、メインスピーカーへ送るのだと思うのですが、「1-2」「3-4」というのは何ですか?
Q:054・使っているミキサーに「COMP」というツマミがあります。どんなときに使えばいいのでしょうか。
Q:055・ミキサーにリバーブがついていません。外部機器を使うときには、どういう接続になりますか。
Q:056・使っているミキサーのファンタム電源は、1〜4チャンネルが一括してオン/オフする仕様です。コンデンサーマイクを1チャンネルに、残りの2〜3チャンネルにダイナミックマイクを接続しても大丈夫でしょうか?
■パワーアンプ編
Q:057・カタログにあるPEAKとかRMS、PGMとは何ですか?
Q:058・パワーアンプのボリュームのツマミは、どの程度にしておけばいいのですか?
Q:059・BTL接続って何ですか?
■スピーカー編
Q:060・パワーアンプが内蔵されているスピーカーやミキサー、そして独立したパワーアンプなどがありますが、どのようにチョイスすればよいのでしょうか。
Q:061・聴衆に向けるメインスピーカーの高さは何を基準にしたらいいですか。
Q:062・リハーサルのときにはばっちりの音だと思っていたのですが、本番がはじまったらリハーサルのときと音が全然違いました。なぜですか?
Q:063・スピーカーに「parallel(パラレル)」という端子がありますが、どういうものですか?
Q:064・パワードスピーカーに「through(スルー)」という端子がありますが、どういうものですか?
Q:065・普通の自宅で使うスピーカーとPAで使うスピーカー、何が違うのでしょうか
■ケーブル編
Q:066・人によって「シールド」「ケーブル」「コード」呼び名が違います。どれが正解?
Q:067・マイクケーブル、フォーンケーブル、スピーカーケーブルはどう違いますか?
Q:068・ケーブルが、短くて届かないんですが……
Q:069・ケーブルの断線、どうやって調べられますか?
Q:070・ミキサーとステージの間が、ケーブルでいっぱいになってしまいます。何かいい方法はありませんか?
Q:071・フォーンでもないXLRでもない謎の端子がありますが……
■モニター編
Q:072・各モニターに、楽器それぞれのバランスを取って送りたいときにはどうしたらいいですか?
Q:073・特に専用のモニタースピーカーはないのですが、ボーカルからは自分の声が聞こえない、ドラマーからはボーカルが聞こえないといわれます。どうしたらいいですか?
Q:074・耳に装着するイヤモニ(インイヤーモニター)のリクエストが多くなっています。なぜですか?
■周辺機器(エフェクトなど)
Q:075・D.Iってなんですか? 何をするものですか?
Q:076・エレキベースはなぜ、ベースアンプにマイクを立てず、D.Iを使うのでしょうか?
Q:077・ベースアンプのD.Iアウトを使うのと単体のD.Iを使うのとでは、違いはあるのでしょうか?
Q:078・D.Iにはアクティブタイプとパッシブタイプがありますが、どう違うのでしょうか?
■楽器編
Q:079・キーボードはいつもL(Mono)という端子につないでいますが、これでいいんですか?
Q:080・ギタリストやベーシストが「自分の音が聞こえない」といっています。アンプが小さいから仕方がないのでしょうか。
■操作編
Q:081・チャンネルEQの使い方、どうもピンときていません。
Q:082・本格的PAのミックスのコツを教えてください
Q:083・サウンドチェックの手順を教えてください。
Q:084・マイクや機材が十分に用意できない場合のPAのコツを教えてください。
Q:085・主催者/出演者とはどのようなことを確認しておけばイベントがうまくいくでしょうか?
■困った、困ったこんなこと編
Q:086・ハウリング、どうしたら防げますか?もう毎回いやになります。
Q:087・音が鳴らない! ? どうしよう! ?
Q:088・接続している端子に触ると「バリバリ」とノイズが出ます。
Q:089・ステージ上のバンドの楽器がうるさくてバランスが取りにくいです。どうしたらいいでしょうか?
Q:090・ライブで、ミキサーのモニターアウトからの音を録音してみましたが、すごく変なバランスです。ボーカルやキーボードばかりで、ドラムやその他の楽器がすごく小さいです。なぜですか?
Q:091・スピーカーから低い音で「ブーン」というけっこう気になるノイズが聞こえます。原因には何が考えられますか?
Q:092・去年の学園祭では、照明もバンバン使ったので何度もブレーカーが落ちたそうです。今年はその対策もしなければなりません。どんなことに気をつけたらよいでしょうか。
Q:093・デンドラ(電工ドラム)の使い方で気をつけることはありますか?
Q:094・野外ライブで発電機を使うことになりました。気をつけることはありますか?
■現場でいわれてワカラン! ?そのひとこと編
Q:095・ケーブルは「八の字巻き」で巻けといわれました。それって何ですか?どうしてそうやって巻かないといけないのでしょうか?
Q:096・回線チェックのときに「D.Iはホットタッチで」、といわれました。「熱い感触?」何ですか、それ?
Q:097・「上手のスピーカー、チェックして!」といわれました。上手? 下手? 何のことでしょうか?
Q:098・「EQで630Hzを3デシ下げて」といわれました。デシって何ですか?
Q:099・「ツマミを3時に」っていわれました。え? ツマミだからオヤツは3時ってこと?
Q:100・「養生しろ」といわれました。健康に気をつけるってことですか? PA現場で?
Q:101・「明日は先週使ったにする」といわれました。卓?
Q:102・「今度はオペやってみるか」といわれました。オペ? 手術?
Q:103・「次の小屋は長野だ」といわれました。「小屋?」次の現場は山なのですか?
Q:104・「OK、バラしちゃっていいよ」といわれました。バラす? 秘密を?
Q:105・ステージの袖にいたら「音響さん“みきれてます”」といわれました。三切れ? 身切れ?
Q:106・「そこの位置、バミるの忘れないで」といわれました。「映える」の活用形?
Q:107・機材持ち込みのPAに行ったら、会館の人から「音響さん、信号をプラヨンでください」といわれました。プラヨン?
■コラム
・コミュニケーションですべてうまくいくこともある
・知っておきたい長さを表す日本の単位
・「小屋付き」「乗り込み」 ー立場/仕事の違い
・物騒な専門用語
そもそもの疑問
「PAってなんですか?」ーー「はじめに」に代えて
「今度の学園祭、PAやってくれよ」
「町内会でお祭りがあるんだけど、PAやってみない?」
「俺、将来PAのエンジニアになろうと思ってるんだ」
「次のライブ、PA大丈夫かな」
……PA? ピーエー? ぴいええ?
「PA」とググってみると「高速道路のパーキングエリアの略」と出てきました。
「そうか、Parking Areaの略だからPAってわけだ」
……そんなわけないよな~。
さらに調べてみると「Public Address」とあります。
「パブリックアドレス? これも違うよなあ」
ちょっと待ってください。その「パブリックアドレス」がPAなのです。
「え? パブリックアドレスって『公的な住所』という意味じゃないの。それがライブと何の関係があるの?」
実はこのPublicは「大衆に対する」という意味で、Adressは「住所」ではなくて「伝達」という意味で、「大衆に対する伝達(すること、するもの)」という意味になるのです。昔は、政治的な演説でより多くの大衆に対して声を届けるときに、このパブリックアドレスという言葉が使われていたようです。(一説によると、ヒトラーの演説が、PA機器の歴史を進めたとさえいわれています。)
つまりPAとは昔は拡声器を指しており、やがて音楽で使われるようになったと考えられます。
PAは、人に音を届けるすべてのこと、たとえばライブ、コンサートはもちろん、講演会、運動会、会議、落語、デパートの館内放送、スポーツ観戦のアナウンス、そしてDJプレイなどもすべてPAということができるでしょう。
そのなかでも特に音楽に関する場合を、Sound Reinforcement(サウンドリインフォースメント〔サウンドの増強〕)、略して「エスアール」と呼ぶこともありますが、一般的には「ピーエー」、あるいは「音響」と呼ばれることが多いはずです。(特に、会館やホールなどではPAエンジニアのことを「音響さん」と呼ぶことが多いです。)
PA/音響を簡単にまとめると、
「音を大きくすること」
そしてその音を「聞きやすく聴衆に届けること」
加えて「そのための装置(機器)とその操作」
といえるでしょう。
本書はPAを志している人、なんだかわからないがPAをやるはめになってしまっている人、先輩に教わったとおりにやっているけど、いつも「?」と感じている人、そしてPA側だけではなく、バンド/ミュージシャン/プレイヤーが、「なんでいつもこうなんだろう?」と思っているその疑問に答える書籍です。
Q&AのQuestion(疑問)に関しては、筆者の考えだけではなく、舞台関係者、音響メーカーの方、イベントには参加しているがPAがよくわからない人、軽音楽部の部員さん、そしてプロのミュージシャンたちにリサーチをおこないました。それらを精査し、項目別に分類し、さらに回答の際にはいくつかの例をあげてみました。
実際のPAの基礎や流れ全体を学びたい、という方は、本書と同じ出版社スタイルノートより『現場で役立つPAが基礎からわかる本』が刊行されているので、そちらも併せて読んでいただき、ければと思います。
さらに著者がYouTubeに投稿している「PAちょっとやってみよう」チャンネルでは、実際に機器を接続したり、音を出したり、ライブをやったりという生の情報を見ることができますので、。参考にしていただければ幸いです。
なお、現在プロのPA現場ではデジタルミキサーが主流となっています。とても便利なもので私も使用していますが、アナログミキサーのほうが基礎的な仕組みを理解しやすいため、本書ではシステム全体をアナログ系で説明しています。アナログ系でしっかりとその仕組みを理解できれば、デジタルミキサーにも抵抗なく取り組めることでしょう。
それでは、疑問を解消する本編をお楽しみください。
ステージの音を「はっきり」「気持ちよく」客席に届ける――その役目を担うのがPA(音響)です。本書『ライブPAの基礎知識』は、誰でも読み進めやすいように、Q&A形式で基礎からていねいに解説しました。マイク/ミキサー/アンプ/スピーカーがどうつながり、どんな働きをするのか。音量をそろえる「ゲイン」と、聴きやすいバランスを作る「フェーダー」の違い、モニター用の音を送るAUXのPRE/POST、コンデンサーマイクに必要なファンタム電源など、まず知っておきたい要点をやさしい言葉でまとめています。ハウリング(キーンという音)を防ぐ機器の置き方やEQの考え方、ギターやベースをきれいにミキサーへ送るD.I.の使い分け、観客が入ると高音が吸われやすい現象への対処など、“現場あるある”にも実践的に答えます。電源を入れる順番やケーブルの「八の字巻き」などの基本作法、スタッフ間で使う用語、出演者とのコミュニケーションのコツも収録。小さな文化祭からライブハウスまで、この一冊があれば準備→リハ→本番→撤収の流れが見通せます。音楽を支える裏方の仕事に誇りを持ち、安心して最初の一歩を踏み出せるよう、背中を力強く押す入門書です。
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