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文化を楽しむ出版社

【第8回】演奏会ウォッチング:富山クラフト・オーディオ・クラブ主催 安田紀生子 (ヴァオリン)、高森静香 (ピアノ) デュオ・リサイタル

 2010-06-19   

絵本館全景

●2010年5月15日 富山県射水市・大島絵本館シアター

演奏曲目

  • J. S. バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第3番ホ長調 BWV. 1016
  • ドヴォルザーク:4つのロマンティックな小品 Op. 75より、第1曲、第2曲
  • バルトーク:ルーマニア民族舞曲 Sz. 56
  • ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op. 60
  • ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調 Op. 78《雨の歌》
  • [アンコール]
  • ドビュッシー:美しい夕暮れ
  • マスネ:タイスの瞑想曲
  • ポンセ (ハイフェッツ編曲):エストレリータ

絵本館入り口

東京で活躍するヴァイオリニスト安田紀生子さんと、富山在住の素晴らしいピアニスト高森静香さんが出演するというので、富山クラフト・オーディオ・クラブ主催による、2人の室内楽デュオ・リサイタルに行ってきた。会場は射水市 (旧大島町) の大島絵本館シアターである。大島絵本館は初めて行ってきたのだけれど (旧8号線からちょっと入るので、初めての人は分かりづらいかも) 、なんだかとてもモダンな建物でびっくり (写真提供は村山一雄さんと加藤敏久さん) 。建物内の写真はないが、子どもたちが楽しめそうなデザインで、うきうきする。こんな場所が富山にあったとは。

受付

主催者の富山クラフト・オーディオ・クラブは、アマチュアのオーディオ愛好家の団体。「クラフト」という名前から想像されるように、会員の皆さんは、自作アンプ製作にも力を入れておられて、定期的に持ち込み試聴会を行っている。今回の演奏会には、そんな試聴会で使う「課題曲」の「音源」を作るという意図もあるという。それに加えて最近は美しい音再生のためのハード製作だけではなく、手作りソフト制作・録音活動にもクラブが積極的に取り組んでおられるとか。会場は一般の方向けのコンサートというだけでなく、富山クラフト・オーディオ・クラブの会員向けの録音会にもなっているのだった。

準備余念無く

実際にコンサート会場に入ってみると、自前のオープンリール・デッキを持ち込んで録音しようとしている方々が陣取っていて、客席前方の右左に4台発見できた。一方デジタル録音用の機材はお一方だけだろうか。なんだかすごい「こだわり」を感じる風景だ。コンサートとは違った雰囲気を醸し出している。

録音準備

客席はだいたい8割入りくらいだろうか。録音機材を目の前にヘッドフォンをもって待機する人も。また舞台真ん中にはマイクが10ほど。ワンポイントっぽいものもあるし、立てる場所もピアノ近くだったり、舞台をすぐ降りたところだったり。

コンサートの司会進行はクラフトオーディオの方がなさっていた。結成8年、今年9年目という。メンバーは54名で、平均年齢60歳ちょっとらしい。録音している人はチケット代にプラスして何千円か払っているとのこと。また、すぐに拍手せずに5秒くらいおいてから拍手してほしいとの案内もあった。こんなアナウンスで始まるコンサートというのも、初体験である。

演奏会が実際に始まると、1曲目が終わって、オープン・リール・デッキで早送り巻き戻しをしてる人がいた。これってどういう意味があるのだろう? また演奏直前にデッキの録音ボタンを押した人がいて、またその動作音が結構派手に出る。ほかの人はどう思ってるのかなーと思ったり。また録音している人は、すぐ後ろの人と、こちら (会場中央) にも聞こえるようなひそひそ雑談をしてる人がいたり。録音も、全部しない人がいて、ショパンの《舟歌》の途中で止めちゃう人とかいた。プログラム前半のバルトークまでで充分ってことなのかな?

林立するマイクの中での演奏

一般の聴衆 (参加者?) も、お約束とは違って拍手をすぐに始めちゃったり、曲間に拍手をしちゃったり、けっこうアットホームな雰囲気。普段クラシックはあんまり聴いたことない人なのかもしれない (もちろんそれは、とても素晴らしいこと) 。録音していた人も演奏家がおじぎをするとデジカメで演奏者をバシバシ撮影してたり、いやはや、演奏する方も大変だ。

それにしても、こんなコンサート、初めて体験した。一応お客さんは入ってるけど、やっぱり公開録音会ってことになるのかな?

というわけで、いろんな意味で貴重な体験をウォッチして帰ってきた。演奏評については、また改めて、たぶん。

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