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文化を楽しむ出版社

『Emprise(エンプリズ)』刊行のお知らせ

 2015-12-30   

スタイルノートから、2016年3月、フランスにある著名な音響や音楽の研究所IRCAMで作曲や研究を長年にわたり進められている後藤英さんによる書籍『Emprise(エンプリズ)〜現代音楽の系譜から、コンピューター・ミュージック、エレクトロニック・ミュージック、ニュー・メディア・アート、新たなパフォーマンスへの進化』を刊行します。発売は3月15日の予定です。


【書籍概要】
本書は現代エレクトリック・ミュージック発展の歴史をロマン派のクラシック音楽時代からたどり、最新の現代アート研究機関などの紹介などまで含めた本です。さらに、MIDI規格の技術的な紹介、さらにはCsoundを使ったサウンド・シンセシスの実践に関する詳細な情報は、他に類を見ない貴重な資料となるでしょう。また、フランスのIRCAMやオランダのSTEIMなどの研究所の紹介は貴重なものといえます。
第1章は本書全般の解説、第2章は現代音楽へのイントロダクションで、後期ロマン派から戦後の現代音楽、テープ・ミュージック、ミュージック・コンクレート、エレクトロニック・ミュージックなどへの発展した背景が解説されています。第3章は初期エレクトロニック・ミュージックの楽器と歴史について述べ、第4章は1960年代以降の現代音楽について、第5章では、初期のエレクトロニック・ミュージックとコンピューター・ミュージックについて、第6章ではヨーロッパにおけるコンピューター・ミュージックのスタジオ・レポートが書かれています。第7章ではインターフェースやセンサーによる作曲と演奏、ニューメディアによる拡張、現代音楽との関わりなどに触れています。また、最後に、第5章の補足としてMIDIに関する技術的な解説を、第6章の補足としてCsoundの解説が収載されています。Csoundは、コンピューター・ミュージックの歴史において避けることができないプログラムで、近年のコンピューター・ミュージックの発展が、より具体的に理解できるはずです。
パリを中心にヨーロッパ各地、さらにはアメリカでも活躍する著者が、本人の言葉で著した内容は、欧米の先端ニューメディアの現状を現す言葉とも言えます。本書は古びることのない、エレクトリック・ミュージックの詳細を伝える基本資料となることでしょう。
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【本書・序章より】
 本書はリットーミュージックのサウンド・レコーディング・マガジンの連載記事が元となっている。ヨーロッパのスタジオ・レポートから始まり、編集部の希望で現代音楽の歴史へと続き、さらにエレクトロニック・ミュージック、コンピューター・ミュージック、ニューメディア・アートへと続いた。さらに本書では歴史的な背景や技術の補足なども書き加えられた。
 月日が流れ、本書で取り上げられたものの中にはすでになくなってしまったものや、変化してしまったものもあるが、それらはむしろ歴史的な記述として受け止めてもらいたい。本書で貫き通したのは、筆者が実際に経験したことや、その場に出向き直接インタビューしたもの、見聞きしたものを、できるだけ忠実に書き留めて伝えようとする姿勢であり、それが本書の基本となっている。そして連載を行ううちに、一冊の本にまとめて欲しいという多くの声をいただき、その結果が本書となった。
 その方たち曰く、日本でも学校などでそのようなことを教える部門ができつつあるが、欧米などと比べるとその数はまだ限られており、大きく遅れをとっているのが問題だそうだ。そうしたジャンルを勉強したくとも、書物などもほとんどないという声もあり、仮に書物があったとしても、その著者により歪んでしまった情報、仮に有名で確かな情報であっても、時間的にあまりにも古くなてしまったその情報が一番新しいことのように伝えられるなどといった問題もあるそうだ。
 もちろん日本にいながら海外の本当の情報を得ることは容易なことではなく、また海外に赴いたとしても、状況をすぐに把握することは不可能に近い。海外の書物が翻訳されたものもあるが、どんな言語であれ、本当の内容をそのまま翻訳するには限界がある。言語を忠実に翻訳できたとしても、意味として成立しない場合があまりにも多く、その時点でその言語に合わせた表現に変更するしかない。そして、読者にはそのような箇所と具体的な背景を知るよしもなく、異なった意味にとらえてしまうのだ。しかしこれは日本に限ったことではない。ところで 何かの記事に書いてあったが、日本では日本在住の日本人が海外で活躍することを絶賛する一方、海外在住の日本人を嫌い、受け入れないようにする傾向が強いそうだ。筆者は人生の半分以上を海外で暮らしている者である。そこで上記の記事がもし正しければ、日本国内で筆者は受け入れられにくく、信頼関係も成立しにくいだろう。本書は長い時間をかけて蓄積された膨大な文章から成っている。このような膨大なものを、不信感とともに読むのであればあまりにも苦痛なことであろう。しかし先程触れた、実際に見聞きしたものを直接伝えようとする意向と、翻訳されたものではない直接的な表現を受け入れてもらった上で、本書を読んでいただけるのならば、この上ない幸せである。さらに各自が自分なりの考えに基づいて判断していただき、そしてその考えなどを聞かせてもらえれば、なんと嬉しいことであろう。


【目次】
Ⅰ 序章
Ⅱ 現代音楽から初期のエレクトロニック・ミュージックへの変遷
Ⅲ 初期エレクトロニック・ミュージックの楽器と歴史
Ⅳ 60 年代以降の現代音楽
Ⅴ エレクトロニック・ミュージックからコンピューター・ミュージックへの変遷とその楽器
Ⅵ コンピューターミュージックについて
Ⅶ 最近の動向—「インターフェースやセンサーによる作曲と演奏、そしてニューメディアによる拡張」
ⅴ 5章補足
ⅵ 6章補足


【本書への推薦のことば】
▼エレクトロニック・ミュージックの歴史を後期ロマン派から紐解き、IRCAMやSTEIMなどの研究所レポート、さらにはCsoundを使ってのサウンド・シンセシス実践まで、フランス在住の著者が自身の見聞によりまとめ上げた、新しい音楽の創造を志す者が寄って立つべき、そして超えていくべきバイブル。
國崎晋(サウンド&レコーディング・マガジン編集人)


▼90 年代から2000 年代の前半にかけて、私は後藤英に作曲を教授しました。私は彼の素晴らしいサウンドへの想像力とエレクトロニクスに対する高い技術を賞賛します。先日、 私の85 歳の誕生日の機会に、彼と再会しました。ダンサーとエレクトロニクスのための「ハイプノイド」という作品を捧げてくれ、その魅力的な作品に私をとても驚かせてくれました。
 この本の中で私の仕事に関して詳細に取り扱われていることはとても名誉なことです。本文中の4-5 章、4-6 章、4-7 章、4-8 章は、ジョン・ケージと私の関係だけでなく、私自身の実験音楽やムジーク・テアターに関する詳細な叙述にあたります。これらの解説は、私の音楽の詳細な分析であり、また私の音楽の本質を述べています。
 後藤英は、今となっては成功した作曲家になりました。そして私は彼のさらなる将来の幸運を願っています。
ディーター・シュネーベル(ドイツ、作曲家)


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