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文化を楽しむ出版社

金賞よりも大切なこと コンクール常勝校 市立柏高等学校吹奏楽部 強さの秘密

山﨑 正彦
四六判 / 304ページ / 並製
定価: 2000円 + 税
ISBN978-4-903238-36-4 C0073
書店発売日:2009年09月28日

内容紹介

千葉県柏市。人口約40万人のこの市にある柏市立柏高等学校吹奏楽部(ブラスバンド)は全国の様々な吹奏楽コンクールで金賞を獲得し続ける金賞常連校だ。この市立柏吹奏楽部を創立から率いてきた教師、石田修一氏が楽器もない新設校時代からいかにして吹奏楽部をここまでにしたか。創設当初から少ない部員でコンクールに出場。そこからあっという間に常に上位を狙う吹奏楽部に育て上げた。コンクールだけではない。日本全国のイベントに呼ばれての遠征演奏は数知れず、テレビ出演やプロ野球の開幕式での演奏経験もある。さらには、アメリカや中国をはじめ世界各地からも招聘されるほどの知名度がある。毎年部員が入れ替わる普通高校で、常に優れた吹奏楽部をどうやって維持していくのか。部員はごく普通の高校生。こうした優秀な演奏を維持し続ける吹奏楽部を持つ高校は全国各地にある。その代表校の1つと言える市立柏の1年を追い、演奏技術よりも大切な人間教育に主眼を置く石田氏の教育が結果的に金賞につながっている背景を記録したのがこの本である。
教育荒廃が叫ばれる中で、こんなにすばらしい高校生が現にいることを。それが学校教育の現場の成果であることの驚きを本書は語っている。学校教育も捨てたもんじゃない。こんなすごい先生や生徒が現実にいることが本書を読むとわかる。これからの教育を考えるためにも必読の書だ。

目次

第1章 石田修一という人
 1.吹奏楽にすべてを捧げてしまった人
 2.吹奏楽であっても全人教育

第2章 〈いちかし〉とは
 1.柏市立柏高等学校はイチカシと呼ばれて
 2.〈いちかし〉の1年間

第3章 石田流の練習に見たもの
 1.厳しい指導と高度な音楽的要求
 2.音へのこだわり シンバルの音にも
 3.驚きの練習密度 「休憩」がない
 4.200人の土曜・日曜日
 5.高い次元を求めていくからこそ大切にしなければならないもの

第4章 〈いちかし〉の本番に見たもの
 1.〈いちかし〉は地元のスター軍団だった!
 2.ピッコロ・ソロに見る「石田流マジック」
 3.一糸乱れぬパフォーマンスの意味するものは「夢」
 4.「靴の裏磨け!」とは?
 5.舞台裏でのもうひとつの美技
 6.裏方の荷さばきは引越しのプロ顔負け
 7.裏方の仕事は心のなせるもの
 8.次の日から、また変わらぬ日常が
 9.マーチングでの、もうひとつの〈いちかし〉

第5章 コンクールの季節がやってきて
 1.普門館組決定 50人の音になって
 2.普門館組以外の部員の見せる顔
 3.練習は、いつもの延長線上で

第6章 千葉県大会で見たもの
 1.千葉県大会予選での妥協のなさが石田流
 2.初めて見た彼らの高校生らしい姿
 3.千葉県大会本選でのバックステージ
 4.歓喜の瞬間 県代表校に

第7章 東関東大会で見たもの
 1.舞台袖での涙
 2.代表校発表 ライバル校へのエール
 3.表彰式を終えての雑感
 4.「おめでとうございます」の重さ

第8章 そして普門館へ
 1.普門館「全日本吹奏楽コンクールとは」
 2.ホール練習 普門館を想定しての音楽表現と音へのこだわり
 3.課題曲と自由曲との絶妙な距離の取り方
 4.普門館前日  移動のバスで
 5.普門館前日 石田の意外な一面

第9章 いざ普門館
 1.普門館には魔物が潜んでいる!
 2.普門館 バック・ステージ 第1話
 3.普門館 バック・ステージ 第2話
 4.普門館 バック・ステージ 第3話
 5.普門館 バック・ステージ 第4話
 6.普門館 バック・ステージ 第5話
 7.普門館 バック・ステージ 第6話
 8.普門館 バック・ステージ 第7話 場外編

第10章 コンクールの季節 第2弾 秋 横浜編
 1.全日本高等学校吹奏楽大会in横浜
 2.横浜バック・ステージ ハマでも〈いちかし〉
 3.横浜バック・ステージ チューニングでは鬼になる石田
 4.横浜バック・ステージ 久々の200人
 5.横浜バック・ステージ 〈いちかし〉人形
 6.横浜バック・ステージ V10なるか?
 7.横浜バック・ステージ 終演後のファイン・プレー
 8.横浜バック・ステージ 番外編 驚きの生徒の一言

第11章 コンクール季節 第2弾 秋 幕張編
 1.マーチング・コンテスト
 2.幕張への道 熾烈を極める日ごろの訓練
 3.幕張への道 その練習に見た石田の超人的な発想
 4.幕張への道 その練習に見た石田の超人的な「耳」
 5.幕張本番 場外編 〈いちかし〉の存在感
 6.幕張本番 突然アリーナへ
 7.幕張本番 涙が溢れ出る感動
 8.幕張本番 薄暮の場外
 9.幕張本番 閉会式 公式戦最後の名演『蛍の光』
 10.コンクールの秋 第2弾終幕 公式記念写真

第12章 部活のなしうるもの
 1.部活動か授業か
 2.石田の明快な答え それでも部活動の教育力は見過ごせない
 3.合奏という営みに充ち溢れる教育的な瞬間

第13章 〈いちかし〉だけではない石田
 1.講演者としての石田は「笑い」をとる名人
 2.石田の指導哲学のバックグラウンド
 3.「生きる力」を身につけさせる
 4.地元社会人吹奏楽団の指導者としての石田
 5.指導主事石田の教える授業の基本

第14章 次世代を育てるという意味であるなら
 1.〈いちかし〉に散在する責任ある活動
 2.極める吹奏楽であるから説得力がある
 3.200人の学んだもの
 4.〈いちかし〉の集大成チャリティーコンサート
 5.〈いちかし〉に息づく_ありがとう_の精神
 6.人としての美しさ、品性に触れて
 7.〈いちかし〉卒業生への伝言


ひとこと

千葉県柏市立柏高等学校吹奏楽部。略して〈イチカシ〉と呼ばれます。約200名の1年間を追ったドキュメントがこの本です。たくさんの写真や貴重な写真なども掲載しました。
〈イチカシ〉は毎年開催される様々なブラスバンド・コンクールで常に優勝や金賞を受賞しています。それだけではなく、海外にまで演奏旅行にでかける強者です。ピッチのぶれなど皆無の驚くほど正確で豊かな表現力を持った演奏をしてみせます。しかし、彼らは特別な教育を受けてきた音楽家ではありません。ごく普通の高校生なのです。その高校生がなんでこんなすごい演奏をするのか。その不思議から本書は企画されました。こうした高校は何も市立柏に限りません。毎年コンクールに登場する全国各地の高校の吹奏楽部はどこもがこうした驚くほど高い技術を持っているのです。その中でも、特筆すべき集団が〈イチカシ〉です。そこで、1年間にわたって、実際に小中高の教員経験もある著者が〈イチカシ〉を追いました。そこでは、実際に教育現場の経験のある著者でも驚くような、しかし当然といえば当然の教育が行われていたのです。〈イチカシ〉のパワーの源は、当然であるはずの当たり前の教育がなされているところにあったのです。ぜひその“当たり前の教育”を本書で見つけてください。

著者プロフィール

山﨑 正彦(ヤマザキ マサヒコ)

1957年長野県生まれ。中学校、高等学校、小学校の教員を経てから武蔵野音楽大学大学院音楽研究科に入学し音楽教育学を専攻。修了後、武蔵野音楽大学音楽教育学科講師として後進の指導にあたり現在に至る。主な研究領域は教員養成と音楽鑑賞指導。これまでに小学1年生から大学生までのすべての学年での教育経験があり、幼児教育現場における指導アドバイサーもおこなっている。


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